支援のお願い
前回のニュースレターでふれた、6月からのニューヨーク渡航・滞在についての支援のお願いです。
(その際は、明らかに書きかけの文章のままの箇所がありました。ごめんなさい!)
▶︎ニューヨークのクィアの人々のコミュニティでの文化・芸術や福祉・教育など市民運動のフィールドワークをしたい
これまで作家(ライター)として、ジェンダー学、クィア理論への関心を通して映画、小説、人文系の書籍、演劇、ポップ・ミュージックなどの評を書いてきました。近年は批評的なエッセイや小説も執筆しています。
一方で、創作やその批評において、日本ではしばしばクィアな人々は「中性的」「両性具有的」といった形容がされてきました。あるいは、マイノリティとしての定義を説明させられる役割を負わされてきました。わたしは、そのような例外化を強要する、偏った表現やボキャブラリーではない語り方・語られ方の可能性を切り拓きたいと考え、執筆活動を行ってきました(主な仕事については下の方にリストにしているので参照してみてください)。
わたしが書くようになってから10年経ちますが、日本の出版業界ではこうした文章には原稿料しか支払われず、自分で取材費を捻出してきました。原稿料が少なくなってもいて、持続的な執筆の限界を感じています(低賃金かつコスパの悪い労働のため、わたしはこの10年で貯金はほぼできてません)。
これまでも、ジェンダー、セクシュアリティや、エスニシティ、経済性、健常性などにおけるマイノリティの人々が、NYはじめアメリカでいかに芸術やエンタテインメントに参入してきたのかを、翻訳された書籍、SNSや英語の記事を通して知ろうとしてきました。
また日本では、使い古された表現を見直し、マイノリティの人々をひとりの人間として描き出せるような手法、物語の作り方、文体について議論をしたり意見交換をしたりするコミュニティも乏しいのが現状です。その背景には、日本では2010年代前半から「LGBT」「LGBTQ」という言葉が広まるも、その運動は、中産階級以上のシスジェンダー男性であるゲイが中心で、広告的な手法がとられる手法が主流とされてきた社会の状況があるように感じています。
そこで、特に実地でクィアな人たち、特に複合的なマイノリティの人たちと話をしたり、組織を訪ねたりするフィールドワークの必要性を痛感しています(サムネイルの画像は、昨年6月に10日間滞在した際に訪れたクイーンズ美術館の壁に展示されていた、「Black, Trans & Alive(Qweens Song)」というフェミニンなブラック・トランスの人たちのコミュニティリーダーをモチーフにした作品です)。
こういった点から、6月にニューヨークで1ヶ月のフィールドワークを計画しました。アメリカ、特にジェンダーや性的指向のマイノリティかつ民族/国家的ルーツのマイノリティといった複合的な被差別属性を持つ人々の集まるニューヨークでのクィア・コミュニティでは、人々がどのようにつながり、支え合ってきたのかを取材をしたいからです。
なぜ6月というと、ジェンダーや性的指向のマイノリティの生を奨励し、人権の大切さを訴える「プライド月間」だから。
その時期に行われる、エスニシティ、クィア性含めた複合的なマイノリティの作家に関する歴史や問題関心をふまえた作品の紹介、企画展、イベントなどを催している市内各地の美術館、ギャラリー、関連施設や文化・福祉団体を訪れようと計画しています。
また、NYを拠点とするエスニックマイノリティかつジェンダーや性的指向のマイノリティ、特にトランスジェンダーやジェンダークィアのアーティストや作家へのインタビューも行おうと動いています。
持続的な文化・芸術の活動のための経済的な側面なども知りたいです。わたしもそうですが、マイノリティ性も影響して就学機会を得られなかった人が学んだり文化・芸術を享受したりする機会についての取り組みについて調べようと思っています。
文化庁の助成も落ち(文化庁の予算自体が大幅に削られたそうです)、急な円安などによって日に日にこの計画の実行が厳しくなっています。
そこで、わたしの文章を信用してくださるみなさんに、支援をお願いしたいと考えました(渡航・滞在費の概算は下にありますが、いわゆるクラファンではないのでザッとした見積もりです)。
▶︎寄付をしてくれた方へのなんらかのかたちでの成果の共有
8月以降に報告会、または得た知見や経験を通してワークショップのような形式で集まりを行おうと考えています。30人〜程度の会場の目星をつけていて、検討しています。また、その際に何らかの冊子を配布できないかというアイディアもあります。
イベントや冊子の販売を行う場合、その参加・販売価格を寄付金額が超えている方は、イベントへのご招待や冊子の送付をしようと思います。
ただ、いずれにせよ、基本的にわたしひとりで動いていることもあって、クラウドファンディングでの「リターン」のようにはっきりとお返しができる、利益の還元と確約できない点をご容赦いただきたいです。イベントを主催した経験も冊子作りの経験もないため、その点での予算組やスケジュールを立てるといったことが不得手で、現状そこまで手が回っていません。
イベントや冊子作成を実行する準備にまで手が回っていないため、このような形になることをご容赦ください。
ただ、努力はします。また、周囲に助力を求めたり相談したりも続けるつもりです。
少なくとも、滞在中や帰国後に、散文や日記のようなかたちでニュースレターでの執筆・配信を行うつもりです。
▶︎寄付方法
PayPalとPayPayの用意をしています。
こちらのフォームに
①お名前
②入金先の選択
③メールアドレス
④寄付金額
以上をご記入ください。
名前、連絡先、寄付金額はこちらできちんと管理いたします。
PayPalの場合
フォーム記入のメールアドレスにこちらから、指定の寄付額の送金リクエストをお送りします。なお、PayPalアカウントを本名で登録しているため、プライバシーの保護の観点から、寄付をしてくださる方はその名前を公表しないでいただきますようお願いいたします。
個人間送金のやり方についてはこちらを参照してみてください。
PayPayの場合
フォームに記入後にID「wshmnrk」に任意の金額の送金をお願いいたします。
【主な仕事】
▼書籍
『エトセトラ Vol.8』 特集「アイドル、労働、リップ」(和田彩花と共同での特集編集)
短編小説「ほころび」、早稲田文学増刊「家族」(2022年、筑摩書房)
『「テレビは見ない」というけれど』(共著、青弓社、2021年)
『社会・からだ・私についてフェミニズムと考える本』(共著、井上彼方・編、社会評論社、2020年)
▼執筆
■連載
「語る言葉のない声を響かせる」(me and you little magazine、不定期)
2021年度「NHKウイークリーステラ」のメディアリテラシーコラムを評論家・荻上チキ氏とともに隔週で担当(NHKが制作するテレビドラマシリーズをジェンダーやセクシュアリティの視点から紹介、一部ウェブに転載)
2020年1月〜2021年12月 「物語の“性”の向こう側へ」、「季刊セクシュアリティ」での映画紹介記事
2017年度「週刊金曜日」書評委員
■その他
2022年
「陶酔する物語を探して」、「群像」2022年2月号に掲載
共同通信文芸時評「デザインする文学」の1月度(担当:倉本さおり)に選出
2021年
「図像(イメージ)をめぐるメディアと社会に根付くジェンダーの権力構造」、「IMA」vol.36 特集「流動するジェンダーの時代」に掲載
「承認としての映像表象の限界 トランスジェンダー女性と美とネオリベラリズムをめぐって」、キネマ旬報2021年7月上旬号に掲載
「クィア、インターセクショナルな視点と、葛藤を手放さないこと」(丸山美佳氏との対談、「美術手帖」2021年8月号 特集「女性たちの美術史」に掲載)
朝日新聞論壇時評の7月度(担当:林香里)に選出
オーシャン・ヴオン『地上で僕らはつかの間きらめく』書評、「新潮」2022年1月号に掲載
2020年
「トランスジェンダーの役はトランスである俳優に」、「キネマ旬報」2020年9月下旬号に掲載
「経験と言葉が葛藤する身体 『POSE』と『親密さ』のトランスジェンダー女性表象をめぐって」、早稲田演劇博物館「INSIDE / OUT 映像文化とLGBTQ+」展図録に掲載
Black Trans Lives Matter運動の特集、wezzyで企画・編集、執筆
BTLMの動きについてと、ブラック・トランスの人々が扱われている映画、テレビドラマシリーズなどについて、日本語で見られる作品を紹介
「(トランス)女性の生活の中の音楽 ジャネット・ジャクソン再考」、「現代思想」2020年3月臨時増刊号 特集「フェミニズムの現在」に掲載
「わたしの声の複数」、「新潮」2020年3月号に掲載
(一部改稿し、ウェブに転載。その際に(トランス)女性という修飾をつけていますが、わたしがアイデンティファイしているのは女性的なジェンダークィア/トランスフェミニンです)
2019年
「まだ書いている途中」、i-D Japan 「Female Gaze Issue」掲載
「保守的な家族と言われても」、「新潮」2019年6月号掲載
清水晶子氏(東京大学教員)との対談「年末クィア放談」を記事化(前編、後編)
2018年
アジア女性舞台芸術会議 ベトナム フエでのミーティング「水、移動、声」に帯同(8月7~12日)、後に報告書でレポートを執筆
『女は二度決断する』(ファティ・アキン監督、2017年)、ダイアン・クルーガーへのインタビュー、i-D Japan(ウェブ)に掲載
2017年
『恋とボルバキア』(2017年)小野さやか監督へのインタビュー、i-D Japan(ウェブ)に掲載
東京大学での公開研究会「道徳的保守と性の政治の20年 LGBTブームからバックラッシュを再考する」レポート記事、wezzyに掲載
ウェブで読める映画・ドラマ評
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート監督、2023年)
『トップ・オブ・ザ・レイク』(ジェーン・カンピオン監督、BBC、2013・2017年)
『プロミシング・ヤング・ウーマン』(エメラルド・フェネル監督、2020年)
「女子的生活」(NHK、2018年)
『ナチュラル・ウーマン』(セバスティアン・レリオ監督、2017年)
『彼らが本気で編むときは、』(荻上直子監督、2017年)
『ムーンライト』(バリー・ジェンキンス監督、2016年)
『バンコクナイツ』(富田克也監督、2016年)、ハン・トンヒョン(日本映画大学 准教授)との対談
『タンジェリン』(ショーン・ベイカー監督、2015年)
『リリーのすべて』(トム・フーパー監督、2015年)
▼大学でのゲスト講師
埼玉大学
渡辺大輔「ジェンダー論入門」
「ジェンダー/セクシュアリティとメディア」担当講師(2018年度~2020年度 前/後期:計6回)
早稲田大学
岡部耕典ゼミナール「ディスアビリティと現代」ゲスト講師(2020年度後期 計1回)
花光里香ゼミナール「異文化コミュニケーション」ゲスト講師(2012年12月、2015~18年前期:計5回)
日本女子大学
平山亮「エイジングの社会学」ゲスト講師(2018年度後期 計1回)
中央大学
連続公開講座「LGBTをめぐる社会の諸相」第4回「LGBTとアート - 社会運動・アート・批評」登壇(2019年11月)
▼メディア出演
TBSラジオ「荻上チキ Session」(前「Session-22」)、「ライムスター宇多丸 アフター6ジャンクション」
▼その他
第22回AAF戯曲賞(2022年度、主催:愛知県芸術劇場)審査員
某映画配給企業でのハラスメント対策委員会のメンバー(2021年度)を担当
テレビ東京 ドラマ『シェフは名探偵』4話 脚本、演技監修、一部キャスティング協力(2021年6月放送)
総額 約60万円(1ヶ月強の滞在予定、1ドル140円で計算)
・飛行機代 往復で約20〜25万円
・滞在費 13万円
友達宅に宿泊
家賃の一部支払い:10万円程度
ネット・光熱費 200ドル(2.8万円)
・生活費・福利厚生費(映画や美術館での鑑賞費) 約17〜21万円
1日40〜50ドルで過ごす×30日=1,200〜1,500ドル
(相当抑えてます……)
参考
滞在先の近所のパン屋でバゲットが4ドル(560円)、クロワッサン4.6ドル(644円)、近所のコーヒー屋でドリップコーヒーが3ドル(420円)、ラテが5ドル(700円)
MoMA、ホイットニー美術館の大人チケット25ドル(3,500円)、映画館の大人チケット19ドル(2,660円)、エリオット・ペイジの回顧録“Page Boy”刊行記念トークイベントのチケット64.6ドル(9,044円)
・地下鉄 22,400円;
30日券 127ドル
7日券 33ドル
・保険料 約30,000円
・eSIM 4,000~5,000円くらい
参考
Airaloの場合:30日 26ドル(3,640円)、7日 4.5ドル(630円)
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